if

結局今日も、卒制の最終形が固まらなかった。


とにかくもう、時間がない。
終わるのかな、どうしようどうしよう
っていう、ifは考えない事にした。
残りの日数で何ができるかを考えよう。


彼は、卒論を余裕持って終わる予定みたい。
「卒制、早く終わるといいね。」
って言われて、
美大と一般大との大きな溝を感じた。
卒制やってて、
「早く終わる」って発想が全くなかったから。
彼には、
計画的に一生懸命やればそれなりに余裕を持って仕上げられる、
って理屈が通用しない経験をした事ないんだろな。
って思ってた。
実際、私も美大入るまでこういう経験なかったものだから。
そのうちに、
私が卒制でいっぱいいっぱいになりすぎる姿を見て、
軽蔑されて、離れて行くような気がしてとても怖かった。


でも、
さっき彼からメールが来て、
そんなことなかった。
彼は今、ifに苦しんでいる。
もしも、明日朝起きて、煮詰まって文章書けなかったら…
「ifは考えないようにしているけどね。」
って言う彼を、
なんか、
私と一緒だったんだなって。
やっとわかった。
余裕持って書き上げる計画は確かにあったのだと思う。
けど、
私が彼に出会って、私の生活が変わったように、
彼も、私に出会った事で、彼の生活に変化があったのだな、と。
私ひとりが辛いんじゃないんだな、と。
だからこそ、
乗り越えていかないと、って思う。