あたしのレシピ

あたしのレシピ
インスタントコーヒーに 小さじ1杯のココアパウダー に クリーム少々 そして ハートの形の角砂糖。 沸騰させた あっついお湯から湯気。が あたしの冷めた体を あたためながら やかんからポットへ ポットからカップへと 伝わっていって コーヒー ココア クリーム ハートが ひとつになる。 テーブルへ持っていき 立ちこめる湯気 それとともに 匂い 感じながら 本のページをめくり アイデアを書き留め ペンを走らせ キーボードを打ち ちょうどいい温度になったとき 口からあたしに注がれる。 ふーふーしながら、 飲み干す。 あたしのなかを かけめぐる かけめぐる あたしの知らないどこかを駆ける どこかへ消える あたしの知らない その繰り返し。


あたしのレシピ
こんな  晴れた 清々しく 生気を感じて 憂鬱になる うっすら暖かさを抜けていく 風が吹く日。 には、 古着で くたくたに着ならした 愛すべき ブルーラインの入った スエットパーカを着て ふらふら 当てのないようで 当てのある 目的に向かう 散歩に 出るしかない。 コーヒーショップのオープンテラス には 人がいっぱい ね。 ここは、 欧米人がたくさん住んでいる街。 東京にいながら 異国を感じる。 そんなあたしを ぬくもり 風が とりまく この感じ そう、 春の気配 の象徴 新しく 何かが始まる前の あの独特な感じ 初めての転校 初めての制服 初めての一人暮らし を、 スタートさせる前の 宙ぶらりんな感じ だったり 雪が解けて よし 自転車解禁だ と 浮かれて 遠くに 行くような あの感じ。 そんな空気に 触れてきた。 散歩の 目的は それだったのかも ね。




BGM*THEE MICHELLE GUN ELEPHANT/casanovasnake