橙と青が交わって

このごろ、本当に夕焼けがきれいだと思う。

地球が、昼から夜の方向にまわっていくのを、もろに実感。

そんな空を見ながら、

この空は、ずっと遠いどこかの場所とつながっているんだなーと、不思議な気分になった。

それも、海をこえた遠い国のことに想いをはせるわけでもなく、

自分の実家がある場所のことを思っていた。



本州の最北端。

いちおう、新幹線+αで4時間あれば帰れるんですが。

飛行機だと1、2時間くらいなんだろうか?

そう言うと、とても近く感じるんだけど。

今、ここ、東京にいて、

足元は、相変わらずのアスファルト

平和に、快適に暮らしている。

お母さんからメールが来た。

「新幹線の代金振り込むの、天気がいい日でいいかな?」

このメールを読んで、はっとした。

そうか、吹雪いてると、外歩きたくないもんね。

同じ陸続きの土地にいても、

この空が向こうへつながっていても、

こちらと向こうは、全然違う世界があるんだ。

今こうして自分が、

ヒールのあるかわいいブーツを履いて、

とりあえずしっかりした上着があれば、中は薄着で大丈夫、

という、わがままたっぷりなファッションをしている、

同じときに、向こうでは、

ブーツもコートも、本気の防寒具として着ている人々が生活している。

ブーツは、雪道、アイスバーンをちゃんと歩けるようなヤツ。

底に滑り止めをつけたり。

無理してヒール高いの履いたりもするけど、

そんなの、半ば死と隣り合わせだと思う。

歩いてると、屋根には自分の身長以上のつららがぶらさがってて、

滑って転んであそこに突っ込んだら人生終わりだ、なんてびびる。

今考えると、高校生の時の制服のミニスカは奇跡だと思う。

ほとんど毎日、雪。

いろんな、雪。

はらはら舞ってる時もあれば、

ガンガン大粒で吹雪いたり、

パウダースノーで本気に寒かったり。

前を見て歩くのが困難になる。

でも遊びにいきたいから、がんばって外に出る。

ずぼずぼ家から出て、

雪まみれになって、

髪型崩れて、化粧崩れて、

なんかまゆしかめて、

道路の幅が狭くなってたり。

そんな地元の冬が大っ嫌いで、

早く地元を出て行きたくて仕方なかった。

なんで両親は、こんな生活しにくい所に居を構えてしまったんだろう、と、

ま、お母さんは北海道出身で、もっとすごい冬を知っている人なんだけども。

で、念願叶って今ここにいるんだけれど、

ここで冬を迎えて4回め。

やっと、やっと、

地元の冬を客観視できるようになった。

良さが、見えてきた。

やっぱり、快適な東京の冬の方があたしは好きなんだけれども。

地元に戻って生活したいとは思わないけれど。

でも、

冬の間に一回でも地元に戻って、

地元の冬に触れないと、なんかだめな感じ。

あの寒さに触れないと、自分が自分じゃなくなっちゃう感じ。

キーンとした寒さの心地よさ。

清閑な冬のにおい。

夜、雪の白さが反射して、空が暗くならないのとか。

でかいつららや、アイスバーンは怖いけれど、

きらきらしてきれい。

それに、寒さなんて5分で慣れちゃうし。

その壁を越えたら、あとはさわやかさが残る。

積もった雪にダイブしたり。(先輩が校舎の二階からよく飛び降りてた。。)

風邪なんかひかないもん。

北国のおうちは暖かいんです。

外から帰ってきて、ほっぺが赤くなって。

すぐに家中のストーブつけて、

ぬくぬく。

窓から雪山(除雪したかたまり)が見えたり、

雪道顔を下に向けて歩いてる人がいて、

外との温度差を感じ、余計に暖かく感じる。



そんな冬が、

同じ空、同じ陸でつながっているんだな。

全然違うのに。

不思議。

ニュースで、雪景色が映ったのを見て、

懐かしさがこみ上げてきて泣いちゃった。

クリスマス終わったら、今年も帰るよ。

明日、新幹線の券を買いにいこう。




BGM*THE BACK HORN/心臓オーケストラ